北陸本線と信越本線の端から端まで乗った記録2023〜⓪計画編〜

2023年6〜7月に東京と兵庫で上演された『ミュージカル青春鉄道5〜鉄路にラブソングを〜』を観劇した結果、鉄旅に出たくなり気が付けばひと夏で米原駅滋賀県)から新潟駅新潟県)+αまで移動してたオタクの鉄旅記録です。

約1ヶ月半後に見に行けました。美しかったです。

 

 

うなされる

鉄ミュ5大千穐楽公演を見届けたあと、家に帰宅してぼんやりしつつ、ふと手に取り読み返した『青春鉄道 黎明編』。初見時にはあまり理解できていなかったリアルの信越本線の事情に関する解説が載っていたので改めて読み直す。

どこを走っているのか、どう3分割されたのか、解説をよくよく読み込んでWikipediaも参照して、やっとその壮大なスケールを把握。そこからはもう「碓氷峠は一体何がどれくらいすごいのか……?」「北陸には一体何が……?」と気になることばかりで魘され始めたので鉄旅に出ることにした。

いけなかったね。

 

青春18きっぷ

季節は夏。そう、青春18きっぷの季節。

青春18きっぷは何度か利用したことがあり、2022年も時刻表を片手に2回分ほど楽しく利用させてもらったため「今夏は5回分使い切ってみたいな〜」と思っていたところだったのでちょうど良かった。*1

旅の友として、少し大きめサイズの路線図が付録としてついていた『旅の手帖 2023年8月号』も手に入れ、はやる気持ちを抑えられず利用期間前に早々にきっぷを買い、「ぼくがかんがえる最強のルート」を思索する日々が始まった。

 

5回分の日付スタンプ

碓氷峠の最寄駅はどこだろう。ていうか何県?どう移動すればいいだろう。直江津駅敦賀駅は行きたい。金沢も行きたい。ていうか直江津って何県?

興味のあることしか覚えられないオタク故に、東日本を筆頭に地理の知識レベルが極めて低い状態であるため、ふんわりと行きたいところを思い浮かべてGoogleマップと路線図と乗換検索を行ったり来たりするという地道な作業を繰り返しているうちにふと気付く。

 

ひと夏の18きっぷ1枚で北陸本線信越本線の名所*2を巡るのは無理があるのでは……?

 

詳細は後述するが、そもそも18きっぷが使えない区間が結構ある。そして、北陸本線が最も長かった頃の区間米原直江津信越本線が最も長かった頃の区間は高崎-新潟らしい。都道府県的には滋賀県福井県富山県、石川県、新潟県、長野県、群馬県のようだ。広い。範囲が広すぎる。

夏季休暇と財産すべてを鉄旅に捧げるのなら問題はないだろう。しかし、常に過密スケジュールで舞台に立っている役者さんのオタクをしている身としては、観劇以外の予定を入れられる休日が限られている上に懐事情も相まってコストは可能な限り節約したいという事情があるのであった。世知辛いね。

なので、完乗*3は無理でもスポットで行きたいところに行けたらいいなあ程度でプランを立てることにする。

色々調べて悩んでいる際に、ふと過去に利用した際のことを思い出す。そういえば18きっぷは利用を開始する駅で駅名が入った日付スタンプを押してもらうんだよなあ……。2024年春には金沢-敦賀間が第3セクターに移管されるんだよなあ……。

 

敦賀はセーフ*4だけどJR金沢駅のスタンプをJRの商品である青春18きっぷに押せる夏は、今年が最後なのでは……?」

 

気づいてしまったからには実行したい。そして、人間は欲深い。金沢のスタンプの横には敦賀のスタンプも押してあげたい。なんなら直江津とかも押したい。2023年夏の鉄旅は日付スタンプにこだわることにした。

 

路線図が手放せない病

先述の通り東日本の地理に疎いので、まず目当ての駅が何県のどの辺にあるのかを確認するところからスタート。

Googleマップでざっくり場所を把握して、路線図を広げて路線を確認し、乗換案内でルートを調べてダイヤを確認して……を繰り返していると、思わぬところで乗換を迫られたり、路線図で見てる限りでは近そうに見えるのに結構遠かったりして何度も代案を迫られる。

そうこうしているうちに「このルートもありなのか」「あわよくばこの駅もこの路線も通りたい」「近くの博物館で鉄道関連の展示が見られるらしい」「駅の近くにおいしそうなごはん屋さんがあるらしい」といった感じで気になる情報と欲が無限に増え続け、仕事の合間や寝る前など隙あらば路線図を見て延々と理想のルートを考え続けては寝不足になる日々を送っていた。重症である。以下は狂いの断片的な記録です。

 

 

過集中を起こしている様子が見て取れます。

 

北陸方面と青春18きっぷは相性が悪い

初心者が色々調べた際に何度もぶち当たった壁。それは、原作漫画『青春鉄道』でも鉄ミュでも散々ネタにされている通り、北陸本線信越本線には「第3セクターに移管された区間がある」点だった。*5

JRではない区間青春18きっぷが使えない区間をどう移動するか問題。

18きっぷは金沢-直江津間(石川・富山・新潟)の移動では役に立たない。一応は理解した上で18きっぷを買ったつもりだったが、日付スタンプにこだわりたいという己の欲深さが想定以上の隘路となった。だが、思いついてしまったものは仕方ない。

 

人間は欲深い。

 

18きっぷ以外を使ってもよい、と自分のなかでGOサインが出た。

視野が広くなったタイミングで在来線のお得なきっぷの存在を思い出す。在来線の長距離移動と言えば18きっぷだと思い込んでいたが、中距離であれば色々と選択肢がある。ちょうどお得なきっぷを使って関東方面から北陸沿線を旅した方のSNS投稿なども見かけたため、関西発でも何某かがあるのでは……?と調べた結果、「北陸おでかけtabiwaパス」なるものの存在を知る。

 

>自由周遊区間のJR(普通列車普通車自由席)や指定の私鉄が乗り放題のおトクな周遊パス!

「指定の私鉄」にはIRいしかわ鉄道のと鉄道(石川県)、あいの風とやま鉄道(富山県)、えちごトキめき鉄道新潟県)が含まれている。

www.jr-odekake.net

 

これだーーー!!!

 

1日乗り放題2,450円。新幹線や特急に比べれば格安である。そして、人間は欲深い。

 

「なんちゃらパスと18きっぷの両方を使えばもっと遠くに行けるのでは……?」

 

北陸本線完乗だけでなく信越本線完乗の野望が生まれた瞬間である。

 

大枠のルート決定

 

振り返ってみると、西の人間なので敦賀や金沢へのルートは考えやすい(というか北陸方面を目指すなら通らないわけにはいかない)が、金沢以東の直江津碓氷峠(横川ないし軽井沢)に立ち寄るルートを考えるのが難しかった。

直江津は手前に長~い3セク区間があるし、西にも東にも南にも移動できる鉄道のまち故に行動のハブ地点(≒宿泊地)をどこに設けるのか、選択肢が多すぎて決断するのに時間がかかった。

碓氷峠はすでに予定していた東京遠征と組み合わせて2日間で地元-東京-碓氷峠-地元を移動することが必須だったので、往路はさておき復路をどう移動するのかが悩ましかった。

欲望と予算と時間を色々と考慮した結果、一部特急や新幹線を使う必要があると判断し*6、鉄道関連施設なども可能な限り回れるルートを約3週間ほどかけて導き出した。その結果の大枠ルートがこちら。

 

  1. とりあえず予行練習。地元から福井まで行ってみる。
  2. 東京に行く用事があるので復路で大冒険してみよう♪
  3. 俺は絶対に直江津に行くぞ!!!ただし18きっぷは使わない。
  4. 1日1種類なんて誰が決めた?tabiwaパスも18きっぷも両方使うわよ!
  5. 金沢。とりあえず金沢。
  6. 敦賀。とりあえず敦賀

 

18きっぷは5回分しかないのに6日程ある時点で欲望の詰め込み具合が窺える旅程である。あと後半が急に雑。でもこれにも一応理由があります。

1旅程ずつ順番に書いていこうと思うので、お暇な方は良ければお付き合いください。(一体何文字書くことになるんだろう)(この記事は約4,000文字です)

*1:青春18きっぷはJR全線の普通列車の普通車自由席が5回(人)乗り放題。
青春18きっぷ|お得なきっぷ詳細情報|JR東海

*2:あくまで私にとっての名所

*3:今旅での完乗の定義はいちばん長かった頃の始発駅と終着駅到達とする

*4:北陸新幹線延伸に伴い、北陸本線のうち米原敦賀間はJR西日本のまま残るが金沢-敦賀JR西日本から第3セクターであるところのハピラインふくい、IRいしかわ鉄道に移管される。
株式会社ハピラインふくい|ふくいとあしたの架け橋に。
IRいしかわ鉄道株式会社

*5:信越本線には廃線になった区間もある。つらい。

*6:どんどん豪華になっていく旅程から欲望の強さが垣間見える